
(2)水やりと肥料
自然界では誰も木に登って水や肥料を与えません。雨期乾期のある地域では来る日も来る日も雨が降り、次に毎日毎日旱々照りの日が続きます。またある種は滝壷の近くの木に着生していて間断なく滝しぶきを浴びているそうです。園芸書には水やりと施肥についても計量的な指針が載っていますが、それは着生状態の株ではなく水苔植えの株に対するものが基準になっているようです。
コルクに蘭を着けると大多数の人は水不足になるのではと不安を持ち保水の目的で補助的な工夫をしようとします。私は補助的な事、例えば水苔を根元に置くとか、コルクに水溜めを作るといったことは一切しません。春から秋の半年間庭に吊るしている時期は、水道水をそのまま浄水器を通さずホースで分け隔てなくじゃぶじゃぶ掛けます。天候に応じ一日3回やることもあり留守にする時は3日やらないこともあります。室内に入れた場合は根を見て、生育中のものには一日1〜2回汲み置き水を噴霧器で株全体に掛け、休眠中の株には葉にさっと掛ける程度にしています。尚、水道水中のクロールは庭でまいた場合は瞬時に飛散するので支障ないが、温室内では若干問題ありと考え汲み置き水にしています。(水道水は浄水より栄養分豊か)
肥料は蘭用として売られているものが沢山あります。化成肥料として水肥を与えるには特別工夫はいりませんが、有機肥料として使われる固形肥料を与えるには若干工夫が必要です。私はナイロンストッキングを二重にしその中に多めに固形肥料を詰め根元に置くとか吊るすという方法をとりました。然しこれでは余り効果がないと考え、今は有機無機両方とも水肥で与えています。蘭展で立派な花の咲いているカトレヤを買って来て鉢から抜き、水苔を取り除いて見ると殆どの場合既述の通り生気のある根が着いていません。業者さんはどんな魔術で花を咲かせるのでしょうか。
地生植物は勿論根から大部分の栄養分を吸収していますが、着生蘭はその多くを葉から吸収しているのではないでしょうか。つまり温度と湿度条件が適切であれば、葉から吸収する養分で生長出来るという事でしょう。従って魔術を使わなくても花が咲くわけです。有機肥料を葉に与える簡便な方法として私は、固形のものに水を加え悪臭が余り出なくなるまで完熟させ、水溶液として与えています。(完熟させるには工夫が必要)
化成肥料は1000倍用原液が売られています。株を庭に出して水を頻繁に掛ける時季になると私はこの1000倍液を毎日夕方噴霧器で掛けます。但し夜温が異常に高い場合は与えません。水やりの回数が少なくなるに従って施肥回数を減らします。温室に入れた場合は1万倍液を噴霧器で主に好天の日に与えます。曇天の日は肥料も水も少なくし、温度も低くします。自家製の有機肥料の水溶液も上記に準じた濃度にしていますが、元々有効成分がどれほどか自体不明なので全くいい加減なものですが悪くもなさそうです。
何れにしても散水と施肥は、根には二の次で、葉全面にたっぷり与えるのが肝要というのが私の心得です。
以上「育て方」前半完。次回は後半、病害虫について述べる予定です。
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